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「もっと大きな喜び」を求めて―元CAがM&A仲介でのキャリアを切り拓く

「もっと大きな喜び」を求めて
―元CAがM&A仲介でのキャリアを切り拓く

大学卒業後、大手航空会社で客室乗務員(CA)としてキャリアをスタートした法人本部海外事業部の吉原さん。国内線ファーストクラスでの乗務や、月に最大60フライトというCAならではの環境で活躍しつつ、持ち前の行動力で社内ベンチャーでの活動にも携わってきました。現在は、法人本部海外事業部に所属し、「もっと大きな規模で事業を動かしたい」という想いを胸に、M&A仲介という新しいフィールドに挑戦しています。新天地での吉原さんの挑戦と、その異色の経験が活きる瞬間について伺います。 

磨き上げた「ホスピタリティ精神」

―CAの業務内容や生活リズムについて教えてください。

想像いただける通り、CAには生活リズムという概念がありません(笑)。家自体は空港までアクセスのよいエリアでしたが、早朝待機のため深夜に5時間ほど電話待ちをして、電話がかかってきたら30分以内に家を出て、そのままグアム往復など日帰りで業務をこなすこともありました。フライト本数もとても多く、国内線が多かった時は、4日間で12フライトを繰り返す月もあり、月に60本も飛行機に乗っていた時期もあります。


特に東京-ロンドンなどのヨーロッパ便は、現在ではフライト時間が14時間にも及びます。寝ても覚めてもずっと空の上にいる感覚でした。それに比べると、現在はやっと生活リズムが整ったという感覚です。

―CAのキャリアパスや、英語力について教えてください。

国内線ではエコノミークラスの乗務からスタートし、ビジネスクラスを経てファーストクラスまで、国際線ではビジネスクラスまで経験しました。その後エコノミークラスの責任者も担当しました。


大学時代に英文科に在籍し、留学経験や英語での卒論執筆経験があったので、就職活動では英語を活かしたいという気持ちがありました。実は新卒時の就職活動では、航空業界の他にも総合商社やIT企業など、事業規模が大きいBtoB企業も受けていました。最終的にBtoCである航空会社を選んだのは、社風が好きだったことが一番の理由です。目の前でお客様が喜んでくださる瞬間を見られるのは、本当に嬉しいですし、それが体感できる楽しさがありました。

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―印象的なエピソードはありますか?

心に残っているのは、ビジネスクラスにご搭乗されていたご夫婦へのサプライズです。ご主人様から日本のおすすめを聞かれたのでリストアップしてお渡ししました。ご主人様から金婚式のお祝いで日本に旅行すると伺っていたので、奥様にも喜んでいただきたいと思い、機内でご用意できるデザートやアメニティに、メッセージカードを添えてお祝いしたんです。大変喜んでいただき、大量にハグをしてくださっただけでなく、後日、会社に2ヶ月連続でお褒めの言葉を連絡してくださったんです。


もう一つは地方から東京に向かう便で、受験生のお嬢様とお父様に「桜が咲く頃に、東京の機内でお会いできるのをお待ちしています」とメッセージカードをお渡ししたエピソードです。半年後、お父様から「無事に合格して上京しました」と会社に連絡が来た時は、私の名前を覚えていてくださったことに感動しました。

成長の停滞感と、「規模の大きな仕事」への挑戦

―転職を考え始めた理由を教えてください。

転職を考えた理由は2つあります。1つ目は「成長の停滞感」です。CAとしてできることが増えるたびに、新しい責任あるポジションを与えてもらい、成長を実感できていたのですが、ある時点でこのまま数年後の自分の成長があまり見えないと感じ、「このままじゃ良くない」と危機感を持ちました。


2つ目は「個人成績として数字が見えない評価体系」に疑問を覚えたことです。前職はお客様からのお褒めの言葉が評価に直結する仕組みで、「吉原です」と名乗り、積極的に自分を覚えていただく努力をしていました。お客様がわざわざ連絡してくださる喜びは大きなやりがいでしたが、同時にお褒めの言葉以外にどのような要素が評価されているかわからない環境に不安を覚えました。

―M&A業界を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

社内ベンチャーチームでの活動が転職を考えたきっかけです。私はそのチームで他社とのコラボ企画を立ち上げ、コンペに出す活動をしていました。実際に空港でアポなしの突撃インタビューを行ったり、アンケートを実施してニーズ調査や市場規模の整理をしてプレゼン資料を作成するなど、事業を一から立ち上げる面白さを知りました。


お客様の「一瞬の喜び」を追求する仕事から、新規事業という「もっとスケールが大きいこと」に携わる中で、「本当にやりたいことは、もっと規模感が大きいことなんじゃないか」という思いが強くなりました。事業規模や動かす金額、そしてこれから事業をどう変えていくか、といった大きな視点を持つ仕事がしたい。そう考えた時に、M&Aという「ビジネスの総合格闘技」とも言える世界に興味を持ったんです。


コンサルティング会社とも迷いましたが、M&Aを選んだのは、「バシッと応援できる」という実効性の高さに魅力を感じたからです。CA時代に地方都市を何度も巡る中で、だんだん寂れていく商店街や、「このお店美味しいからずっと続いてほしい」「おじいちゃん、大丈夫かな」と思うような、後継者不足に悩む会社をたくさん見てきました。そういった中で、コンサルタントとしてアドバイスをするのではなく、M&Aで「資本の移動」や「事業承継を支援」する方が、会社や事業に新たな担ぎ手と資金をもたらし、その存続と発展を根本から支えることができると思いました。M&Aによって、その会社や地域を表面的ではなく、根本から応援できるのではないか、という思いが強かったんです。

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異色の経験をM&A仲介で武器にする

―CA時代の経験がM&A業界で活きていると感じる瞬間はありますか?

本当に、全く関係ないと思っていた経験が、意外な形で活きていると感じています。例えば、今、新素材を扱う譲渡企業様を担当していますが、航空業界は今、環境に配慮した「素材」を非常に必要としているんです。新素材メーカーとCAでは一見無関係に思えますが、前職時代に仕入れていた業界知識が、「この素材、航空業界にアプローチできるのでは」というマッチングのひらめきに繋がっています。


また、CA時代に国内外のさまざまなホテルに宿泊していたことから、宿泊業の譲渡企業様を任せていただくことも多いです。高級ホテルから地方のビジネスホテルまで知っているので、「このエリアは日本人旅行者が多い」「この施設レベルならこれくらいのターゲットに響く」といった土地勘や、実際にさまざまな町を訪れた「一次情報」を提案に活かせているんです。ホテルに泊まっていた経験が、M&A業界で役立つとは思ってもみませんでした。


M&A仲介という仕事は、本当に幅広い業種・業態に触れることができます。だからこそ、今までの経験や、ふとした瞬間に仕入れていた雑学が、譲渡企業様と譲受企業様を結びつけるための独自の視点として生かせるのだと実感しています。

―今取り組んでいる業務や今後の目標について聞かせてください。

今は海外の譲受企業様の開拓に積極的に取り組んでいます。海外の譲受企業様との折衝は、どうしても距離があったり色々な背景から難しいと感じる局面も多いです。しかし、粘り強くアプローチを続ける中で手応えも感じています。


今後の目標は、まずは実績を積み上げることです。また、これまで開拓できていない海外の譲受企業様へのアプローチを強化していきたいです。個人的には簿記の資格取得も目指しているので、意識的にインプットの時間を作って勉強するようにしています。


将来的には、海外の譲受企業様に直接訪問して提案できるような、海外赴任という夢も持っています。まだまだ夢物語かもしれませんが、行動力と努力があれば、そうした未来に近づけると思っています。

異業種だからこそ持てる独自の視点

―異業種からの転職を考えている方に、メッセージをお願いします。

私はCAという全く畑違いのところからこの業界に飛び込みましたが、M&A仲介の仕事は、「今までの経験を必ず生かせる」仕事だと強く感じています。目の前のお客様に心から喜んでいただくために培った行動力やホスピタリティは、今は新規開拓やクライアントへの提案という形で活きていますし、異業種出身者だからこそ、独自の視点を持ってM&Aの案件を結びつけることができると思います。


「もっと大きなことがしたい」「自分の努力の結果が目に見える形で欲しい」という、成長意欲と上昇志向を持った方には、ご自身の経験を糧に、ぜひ一歩踏み出してほしいです。私たち海外法人部も、供に新しい世界を開拓できる仲間を心からお待ちしています。 

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編集後記

元CAという異色の経歴を持つ吉原さんの言葉には、常に「次」を目指す能動的なエネルギーに満ちていました。プロフェッショナルな高負荷の環境で培ったホスピタリティと行動力が、現在は「規模の大きな仕事」への渇望となって、M&A仲介というフィールドで結実しています。

自己分析を徹底し、自分の経験を武器に変えた挑戦は、M&A業界を目指す全てのビジネスパーソンへの力強いメッセージとなるでしょう。吉原さんが海外事業部の未来を切り拓く姿に、引き続き注目です。