元自衛官がM&Aの世界で飛躍!
―「ゼロベースの学び」と「仮説思考」が拓く早期の成功
陸上自衛隊で高度な専門性と判断力が求められる専門部隊に所属し、海外任務を経験した企業情報本部 主任の押部さん。これまでのキャリアを全てリセットし、M&Aアドバイザーとして新たなスタートを切りました。前職で培った「学びの姿勢」と「仮説思考」を武器に、未経験ながら入社7ヶ月で新人賞を獲得されました。「チャレンジすることが好き」と語る押部さんの、M&Aアドバイザーとしての挑戦に迫ります。
困難を乗り越えた防衛大学校での日々
―どんな学生時代を過ごしたのでしょうか?
防衛大学校ではずっとラグビーを続けていました。特に大学は上下関係が厳しかったこともあり、しんどいと思うこともありましたが、ラグビー部の仲間に対する責任感が強く4年間辞めずに在籍していました。進学先に防衛大学校を選んだのは、「防衛大」という名前に面白みを感じたという気持ちからです。入試は体力テストのような実技はなく勉強のみでしたが、入校後は想像以上の厳しさで、本当に初日で後悔しました(笑)。
卒業生の8割は自衛隊に入隊し、残りの2割は一般企業に入社していたと思います。同期とは4年間寮生活で共に過ごし家族のような関係性だったので、卒業後も皆と一緒に働きたいと思い、陸上自衛隊へ入隊しました。
背中で見せるリーダーシップ。極限状況で培われた判断力と教訓
―陸上自衛官時代の業務内容や、大変だったことを教えてください。
幹部候補生学校での試用期間を経て自衛官となり、陸上自衛隊へ入隊しました。配属は全国に散らばり、短いと半年、長くても2年程度でのペースで異動が非常に多かったです。最初の任務では約30名規模の部隊の小隊長を担当しました。22歳で実務経験がない私にとって、叩き上げのベテランの方々との関係構築は難しく、信頼関係の構築には日々の行動の積み重ねが全てだと学びました。
私は「背中で見せる」ことを徹底しました。部下に指導する以上、自分自身が誰よりも率先して完璧に実践する必要がある。周りからは見られていないと思うところも意外と部下に見られているものなので、そういった細かいところから自分もしっかりとやる。この姿勢が徐々に信頼へと繋がったと感じています。
また、海外任務や政治的に機微な案件に携わる高度な専門部隊に志願しました。この部隊の選抜試験は1年間続き、肉体だけでなく知力も要求されます。この経験を通して、極限状況での判断力と、高いレベルでの計画実行能力を徹底的に磨き上げることができました。
―極限の訓練の中で直面した挫折と、乗り越えることで得た教訓は具体的にどのようなものでしたか。
私にとって最大の挫折は、その特別な部隊の1年間にわたる選抜試験の時です。肉体的な厳しさに加え、いつ落とされるかわからないという精神的なプレッシャーが続き、本当に精神的に追い詰められた時期でした。それまでは、何事でもトップを走ってきたので「自分はできる」というプライドを持っていたのですが、そこで初めて「できない」と悟ったんです。この経験から、「自分は無力な存在なんだ」くらいの気持ちでプライドを全て捨てたのが大きな転機でした。
そうすると、学びの姿勢が全く変わる。偉そうにするのをやめ、素直に周りの意見を聞けるようになりました。この「ゼロベースで学ぶ姿勢」こそが、この試練から得た最大の教訓であり、今も活きていると思っています。
M&A業界を選んだ動機と転身の理由
―民間企業への転身を決意された理由と、M&A業界を選んだ動機、そして当社を選んだ決め手は?
自分のポジションに頭打ちを感じ、挑戦し続けたい人間として、これ以上やりがいを感じるキャリアが見えなくなった時に転職を決めました。M&A業界を選んだ理由は「ビジネスの総合格闘技」と言われるように、財務知識や営業など、自分のスキルアップが一気にできる場所だと感じたからです。
そして、社会的意義が大きいことも大きな理由です。中小企業が99%を占める日本経済において、M&Aを通じて経済の地盤を良くすることは、ある種の国益に繋がるという貢献性の高さに強く共感しました。
当社を選んだ理由は、防衛大学校の同期である樋山さんが在籍しているからです。卒業後も定期的に連絡を取っていましたが、M&Aアドバイザーの業務内容や当社の企業風土など、現場の声を実際に聞いたことで業務理解が深まり、挑戦したい気持ちが一層強くなりました。
未経験からの新人賞獲得。「ゼロベースの学び」と「仮説思考」が導いた早期の成功
―営業未経験・入社7ヶ月で新人賞を受賞された要因は、どこにあるとお考えですか?また、転職の際に苦労された点はありますか?
新人賞を獲得できた要因は2つあると思っています。1つ目は、前職での経験から得た「ゼロから学ぶ姿勢」で、上司や同僚の教えを素直に真似することができたこと。2つ目は、前職で培った「仮説思考」です。やみくもにアプローチするのではなく、「この企業のオーナー様は後継者不足で悩まれているだろう」といったマクロな視点で仮説を立て、提案の質を高めたことが成果に繋がりました。
転職の際は、話し方を直すことが大変でした。自衛隊では簡潔に伝えるために体言止めで話す喋り方が徹底されていましたが、「偉そうだ」「現代では使わない」と指摘され、話し方の修正には苦労しました(笑)。また、防衛大学校からストレートで入隊したため就活の経験がなく、履歴書の書き方や面接対策もゼロからのスタートでした。
―いま感じているM&Aの難しさについて教えてください
最大の難しさは、核心に常に人間的なドラマがあることです。もちろん数字とロジックも重要ですが、どれほど緻密な分析を重ねても、最終決断は経営者様の感情が左右します。企業の「魂」とも言える長年の想いを、数字だけで定量的に判断することはできません。また、譲渡企業・譲受企業の両者が納得できる「落としどころ」を見つける、正解のない戦いだと感じています。企業の歴史や未来を背負う経営者様の信頼に応えるためには、論理だけでは足りず、その方に寄り添い、人間力を磨き続けることが必要だと感じています。
「人生を任せる」という信頼。挑戦と結果を追求する最大のやりがい
―仕事における最大のやりがいや、喜びを感じる瞬間について教えてください。
最も大きなやりがいは、経営者様から「人生を任せる」という覚悟と信頼を勝ち取れた瞬間です。自分の存在意義を強く感じられる瞬間ですね。
また、常に新しい知識に触れ、圧倒的なスピードで成長し続けられる場でもあります。「挑戦と結果」を最も追求できるM&Aアドバイザーの仕事を通じて、日本の未来を創るという形で国防という使命を果たせていることにも大きなやりがいを感じています。
―いま感じている壁や、今後特に強化していきたいスキルは何ですか?
今、自分自身が感じている壁は「無駄のない硬い話し方」を、経営者の心に響く「血の通った言葉」へ変えることです。ディール終盤の、感情が最も揺れる局面で、経営者や従業員の不安を払拭し、ディール後の成長に向けたモチベーションを引き出す「決定的な一言」や「クロージングの技術」を磨くことも急務だと感じています。
また、数字に表れない、潜在的な企業文化や人事リスクを正確に嗅ぎ分ける洞察力も身につけたいです。経験を積み重ねることでしか得られない力だと感じていますが、現在の最重要課題だと捉えています。
異色の経歴をプラスに変えて、成約という結果を出す
―「元自衛官」の経歴がM&Aアドバイザーの仕事で生きる場面はありますか?また、今後の目標と、異業種からの転職を考えている方へのメッセージをお願いします。
「元自衛官」という経歴はやはり経営者の方からすると珍しいようで、最初は驚かれることも多く、話のネタの1つになっています。しかし、経歴に興味を持っていただくだけでは提案に生かしきれません。私は、「このM&Aが日本経済全体にとってどのような意義があるか」といった、より大きな視点からの提案をすることで、「このアドバイザーは全体を考えているな」と信頼してもらえる。他のアドバイザーとは違う特殊な経歴だからこそ、提案力でさらにプラスに変えていくところに大きなやりがいを感じています。
今後の目標は、今期2件の成約です。長期的には、前職で培った経験を活かし、信頼されるチームリーダーになりたいと考えています。異業種からの転職者へは、「覚悟さえあれば成果に繋がる」と伝えたいです。過去のプライドは全て捨てて、「ゼロから学ぶ」という素直な姿勢が、必ず成功へと繋がります。
編集後記
元自衛官からM&Aアドバイザーへ転身したキャリアは、まさに挑戦の連続。チームで動くなかで培われた「背中で見せるリーダーシップ」と、成功体験をリセットした「ゼロベースで学ぶ姿勢」が、未経験ながら入社7ヶ月での成果を生み出しました。 「覚悟さえあれば成果は繋がる」という言葉は、新たな分野で飛躍を目指す方々への力強いエールです。実はインタビューの際に押部さんがお召しになっていたスーツは防衛大学校時代の同期、企業情報部 部長の樋山さんからいただいたものだそうで、尊敬している先輩に樋山さんのお名前を挙げていました。自身の高い専門性と人間力を、社会的な価値創造に変えていく押部さんの今後のさらなる飛躍に、心から期待しています。
