異業種・30代からの挑戦
対照的な二人のトップランナーの物語
M&A総合研究所には、多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルたちが集まります。今回は、外資系医療機器メーカーでトップセールスを記録した郷内さんと、ベンチャー企業で組織の急拡大を支えた安彦さんが登場。30代で未経験の業界へ飛び込んだ二人は、同期として、そして「同志」として、どのように高みを目指しているのでしょうか。二人のリアルな本音と、プロフェッショナルとしての戦略に迫ります。
限界を感じた前職、そしてM&Aへの転身
-まず、お二人のこれまでのキャリアを教えてください
郷内さん:私は新卒で不動産仲介管理の会社に入社し、4年ほど土地の所有者様に対し不動産に関するトータルソリューション提案を行っていました。その後、外資系の医療機器メーカーに転職し、総合病院や基幹病院のドクターに対して医療機器の提案営業を行っていました。非常に専門性の高い領域でしたが、4年目には「プレジデントクラブアワード」という、年に1人のみ選出される社長賞を受賞することができました。過去の受賞者の中にM&A業界を目指す方がいて、私も触発される形でこの業界を意識し始めたのがきっかけです。
安彦さん:私は大阪出身で、新卒では社員数名の少数精鋭な鉄鋼商社に入社しました。そこで3年間、町工場のオーナー様たちと泥臭く向き合う営業を経験しました。その後、友人が東京のベンチャー企業で働き上場したのを見て「かっこいい、自分もチャレンジしたい」と思い、生後6ヶ月の子供と妻を大阪に残して単身上京し、前職の会社に入社しました。そこでは急速冷凍機の営業や、自社製品の立ち上げなどに携わりました。私が入社した時は7〜8人の組織でしたが、辞める頃には70人規模まで急拡大しており、組織が大きくなる過程を肌で感じることができました。
-充実したキャリアの中で、なぜM&A業界を選んだのですか?
郷内さん:私は「年功序列の壁」です。1社目からずっと右肩上がりで成長してきた自負があったので、二社目で年功序列の人事制度によって求めるスピード感で成長できないことに耐えられないと感じました。自分の実力が正当に評価され、スピード感を持ってキャリアアップできる環境を求めてM&A業界を選びました。
安彦さん:私の場合は、前職のマーケットサイズに限界を感じたことが大きいです。急速冷凍機の市場規模は数百億程度で、自分が目指す給与水準に到達するのは業界の構造上難しいと気づきました。当時、2人目の子供も生まれ、家族4人を東京で養い、理想の暮らしを実現するためには、より高い市場価値を目指せる職業を選ぶ必要がありました。そこで、前職の役員の方に相談したところ「M&A総合研究所がいいんじゃないか」と勧められたんです。面接で「家族の幸せ」について代表の佐上さんが真剣に話してくれたのが決定打となり、ここなら頑張れると思い入社を決めました。
衝撃を受けた「仕組み化」と働きやすさ
-安彦さんは、小規模な組織から転職してみてギャップはありましたか?
安彦さん:ものすごいギャップがありましたね。これまでのキャリアが数名規模やベンチャー企業だったので、良くも悪くも「ウェット」で、何でも自分でやらなければならない
環境でした。それはそれで自己成長には繋がったのですが、M&A総合研究所に入社して驚いたのは、その徹底された「システム化」と「分業体制」です。正直、入社前は「大きな組織って窮屈なんじゃないか」という懸念もありました。しかし実際は逆で、やるべきことが明確に整理されており、営業が営業活動に集中できる環境が整っています。「何でも屋」として奔走していた頃に比べると、仕事の進めやすさは段違いだと感じています。
「同志」としての絆と、それぞれの営業戦略
-同期入社のお二人ですが、お互いの印象はどうでしたか?
郷内さん:研修初日に安彦さんを見た瞬間、「この人は優秀だろうな」と直感しました。佇まいがシュッとしていて、会話のキャッチボールもしやすかったです。私たちは30代で入社したからこそ社会人としてのバランス感覚や、泥臭い経験値が武器になると感じていました。安彦さんは、私が持っていないパッションや勢いを持っていて、刺激を受ける存在ですね。
安彦さん:最初は郷内さんのことを「丁寧な人だな」と思っていたんですが、すぐに同期全体の士気を引き上げてくれるリーダー的な存在だと確信しました。郷内さんは自分の進捗を隠さずに共有してくれて、周りを鼓舞してくれるんです。僕と郷内さんはどちらかというと「仲間」としての意識が強いです。僕らはよく、仕事終わりにカフェでアイスクリームを食べながら、お互いの傷を舐め合ったり励まし合ったりしています(笑)。たった10分、15分の時間ですが、この「同志」との時間が精神的な支えになっています。
「不要不急」を売るロジック。前職から導き出した必勝法
-未経験から早期に成果を出すために、どのような戦略を立てましたか?
安彦さん:私が意識したのは、精度の高いアプローチを行うことです。確かにKPIはあるものの、KPIを達成するためだけにニーズのない企業様にアプローチするのは意味がありません。M&Aを明確にイメージできたり、自分が得意とする業界に絞ってアプローチしました。成約から逆算して行動したことが、結果的に初動の差につながったと思います。
-前職の経験が活きている部分はありますか?
安彦さん:大いにあります。実は前職で扱っていた「急速冷凍機」と「M&A」には、非常に似通った特性があるんです。それは、「不要不急だが、将来的には重要」かつ「投資対効果(ROI)が見えにくい高単価商材」であるという点です。急速冷凍機もM&Aも、今日すぐに実行しなければ会社が潰れるというものではありません。しかし、将来を見据えた時には極めて重要な意思決定になります。だからこそ、お客様の中で優先順位を上げてもらうためのアプローチが必須になります。具体的には、「今動かないことによるリスク」と、「導入することで得られる未来」を対比させて語るようにしています。前職の上司が特にROIが見えにくい商材を過去に扱っていたプロフェッショナルだったこともあり、前職時代にこの手法を徹底的に叩き込まれました。M&Aにおいても、オーナー様に「なぜ今、検討すべきなのか」を腹落ちさせるために、このロジックは私の最大の武器になっています。
「スマートさ」の落とし穴。対照的な二人のスタイル
-郷内さんは営業のスタイルに変化はありましたか?
郷内さん:M&Aの世界に身を置いて実感したのは、「スマートさ」に加え、さらに深い人間理解と信頼の醸成が不可欠であるという点です。前職の外資系メーカーでは、ブランド力を背景にしたスマートな提案スタイルを武器に、成果を積み上げてきました。
弊社に入社当初は、論理的な正解や効率的な合意形成を重視するあまり、M&Aの本質である「オーナー様の想い」にまで十分に心を配れていない自分に気づかされました。 会社を譲渡するという決断は、オーナー様にとって人生の集大成ともいえる大きな節目だからこそ、数値や条件以上の深い寄り添いが必要だと感じました。
単なる条件交渉に留まらず、オーナー様の歩んでこられた歴史や感情に深く寄り添い、時間をかけて盤石な信頼関係を築くこと。これこそが、M&Aアドバイザーとしての真のプロフェッショナルであると思っています。現在は、前職で培った提案力に、お一人おひとりの想いを形にする「伴走者」としての姿勢を加え、より付加価値の高い支援を追求しています。
プロとしての覚悟と理想のライフスタイル
-高い目標を達成し続けるための原動力は何ですか?
郷内さん:誤解を恐れずに言えば、「M&Aアドバイザーとして成功したい」という気持ちがどれだけ強いかだと思います。M&Aアドバイザーは断られ続けることも多いタフな仕事です。その中で心を折らずにやり続けるためには、「何のためにこの仕事をしているのか」という強烈な動機付けが必要です。私たちは成功するために入社しており、作業をこなすことが目的ではありません。自分自身を追い込み、高い基準を維持し続けるためには、プロとして「絶対にこの水準には到達するんだ」という確固たるマインドセットが不可欠ですし、「成功から逆算して行動できているか」を考えることが大事だと思います。
安彦さん:僕の場合、その動機は「家族の理想の暮らし」を実現することです。具体的には、都内の希望するエリアにマンションを買い、自家用車を持ち、子供が習い事をしたいと言えば快く応援し、妻が美容にお金を使っても笑顔でいられる。週末に家族で焼肉に行っても値段を気にせず楽しめる。そんな「家族4人の理想の暮らし」を実現するために必要な水準が、僕にとっては明確にあるんです。この具体的なイメージがあるからこそ、辛い時でも踏ん張れます。だからこそ、ここで結果を出すしかないという状況を自ら作り出しています。「サイヤ人が死にかけで強くなる」のと同じで、あえて自分を追い込むことで力を発揮するタイプだと思います(笑)。
-お二人ともご家族との時間は取れていますか?
安彦さん:土日は完全に家族サービスの時間にしています。土曜の朝は9時から子供の体操教室、その後は水泳に連れて行き、料理好きな私が昼食を作り、午後は上の子のスポーツ教室へ。夜もお風呂に入れて寝かしつけまで行います。平日は夜遅くまで会社に残るのではなく、20時半頃には帰宅し、子供が寝た後に深夜に資料作成などの集中業務を進めることもあります。自分の裁量で最もパフォーマンスが出る時間の使い方を選べるのは、この会社の大きな魅力です。
郷内さん:私も同様です。無駄な社内調整や会議がない分、プロとして時間の使い方はシビアに管理されますが、その分、家族との時間もしっかり確保できる環境です。プロとして成果を出した上で、家族との時間を最大化できるのは当社の大きな魅力ですね。
目指すは「最強のチーム」と「自身の高み」
-最後に、今後の目標をお聞かせください
安彦さん:定性的な目標としては、将来的にはチームを持ち、ワイワイガヤガヤと活気のある、かつ成果にコミットする「最強のチーム」を作っていきたいです。前職でどれだけ大きな商品を売っても味わえなかった感動が、M&Aの成約にはあります。お客様からの感謝の深さが全く違うんです。この感動を味わわずに辞めていく人をなくしたい。将来チームリーダーになったときにチームメンバー全員に成約の喜びを味わってもらいたい。そのために、自分の案件の一部をメンバーに任せるなどして、チーム全体で勝てる組織を作りたいですね。
郷内さん:現在ご相談いただいている企業様に加え、さらに複数の成約を目指して動いています。そして来期からは、副部長やチームリーダーとしてマネジメントにも携わりたいと考えています。私たちのような異業種からの転職組でも、1年強でここまで実績を出せることを証明できました。これからはプレイヤーとしてだけでなく、組織を牽引する立場として、M&A総合研究所の成長に貢献していきたいですね。
